やさしい英語!驚きの1冊

 

英語の効果的な勉強法の一つは、洋書を読むことだとよく言われます。

 

伊藤サムさんの "英語はやさしく、たくさん" を参考にさせていただき、

このとある国のとある田舎町の図書館で

子ども向けの本をよく借りています。

 

おばさんがまっしぐらに子ども向けの本棚に向かうので

子どもたちの視線を痛いほど浴びますが

もう慣れっこになりました。

 

英語の勉強になるとは言っても

内容が面白い子ども向けの本を見つけるのがけっこう難しい。

 

そんな私のために、

近所の図書館司書が、1冊の本をホールドしてくれていました。

オーストラリア人作家、Katarina Nannestad さんが書いた

We Are Wolves という本です。

 

「子ども向けだし読みやすいし、とても良い本よ」と言われて借りましたが

本の後ろに書かれている紹介文を読んだ時に、

好き嫌いが多い読者の私は、正直

「ちょっと苦手かも」と思いました。

戦争と子どもの話だったからです。

 

その紹介文とは

終戦間近になってロシア軍が東プロイセンに進軍して来るので、

 ウルフ一家は避難を余儀なくされます。

 戦争地域の真っ只中で

 リーズルとオットー、そしてまだ赤ちゃんのミアは、

 ブリザードが吹き荒れる最中、母親とはぐれてしまいます。

 リーズルは母親と約束した通り、小さな弟と妹を必死に守ります。

 しかし、生き延びるため、

 人は時として悪いことも、危ないことも、荒々しいこともしなければなりません。

 生き延びるため、

 人は時として狼にならなければならないのです。」

 

ね?

この段階で、内容がある程度想像できますよね。

生意気なくせに涙腺がゆるい読者の私は

「読まなくてもだいたいのことは想像できるなあ、

 悲惨な状況だろうし、痛々しいだろうし・・・」と

気が進みません。

 

でも、司書の親切を無駄にしたくないと、しぶしぶ読み始めてびっくり。

確かに子ども向けなので、簡易な表現が使われているのですが

内容がとても深く

単に戦争の悲惨さだけでなく

希望と絶望、愛と憎しみ、別離と絆などが、

子どもの目を通して、悲しく美しく描かれた物語で

ぐいぐいと引き込まれました。

 

悲惨な状況にも関わらず

子どもたちは子どもらしさを失わず

遊びや想像力、互いの協力や愛情で希望をつなぎます。

そしてしなやかにたくましく、健気に、

様々な人々や子どもとの関わりを通じて

今この瞬間にすべてをかけ、必死に生きぬいていきます。

 

年齢によって戦争によるインパクトの大きさも深さも違います。

大切な人も物も失い、傷つき

時には自分のアイデンティティさえも失いそうになりながら

それでも持ち続けようとした美しいもの・・・

そして最後に訪れる何にも代えがたい喜び・・・

 (大人向けの本だったら、この結末はもしかして訪れなかったかもしれない?)

 

私の語彙力の無さや稚拙な文章では

書けば書くほど内容が浅くなってしまうような気がするので

あとは多くの方がこの物語を読んで、

ご自分の言葉で、直に感動を表現していただきたいと思っています。

 

難しい英語の構文も英単語を使わなくても

濃い内容、深い内容を表すことができるのだとあらためて思いました。

 

英語の勉強になるだけでなく

心の栄養にもなる、ぜひお勧めしたい1冊です。