蓋をあけてびっくり、とある国のとある田舎暮らし

山あり川あり海ありと自然がいっぱい、

緑も豊かでまさに風光明媚

鳥たちはまわりの林でにぎやかに歌い、

牛、馬、羊が草を食む・・・

今までそんな自然に囲まれて生活したことがないし

あくせくせず、さぞかしのんびりした平和な生活が待っているだろうな・・・と

期待と不安とともに、とある国のとあるこの田舎にやってきました。

 

ところが蓋を開けてみてびっくり。

百聞は一見にしかずとはまさにこのことです。

 

まずは車の数。のどかの「の」の字もありません。

朝早くから家の前の通りを物流トラックがゴーゴーと走ります。

公共交通機関がとても不便、ポツンと1軒ある一番近いコンビニも1キロ以上先、

と言うわけで、ちょっとどこかへ行くにも車がいります。

車が1台しかないと、誰かが使っていればスーパーにも行けません。

そこでたいていの家には、社会人の数だけ車があります。

出勤時、帰宅時には車、車、車・・・

 

大人から子どもまでスポーツがさかんで

やっぱり健康的な人が多いんだと思ったら、実は病気持ちが多い。

例えば子どもたちのスポーツ大会もいっぱいありますが、

元気に活躍する子どもたちの傍らに並ぶパファー(吸入器)の数々。

喘息のためです。

 

そして何よりも驚いたのが、こんな小さな町でも競争がとても激しいと言うこと。

お互い顔見知りと言う、とても狭い社会だからこそかもしれません。

「ゆったりと平和な暮らし」など、どこのお話やらという感じ、

人によって出し方の程度は違いますが

一様に、なんだかツッパてるなあと思います。

 

競争の基準は色々ありますが、

まず、なんと言ってもお金をどのくらい稼いでいるか、

そしてその結果として

大きな家に住んでいるか、良い車に乗っているか・・・

さらに、子どもの行く学校、習い事、学校やスポーツ大会での成績

あげくは誕生日の祝い方、週末やホリデーの過ごし方などにまで及びます。

お金はまさに「パワーとステイタス」の象徴です。

 

この象徴は、別に珍しいことではないのかもしれませんが、

ここでは、この価値観にそぐわないと、

当人がどう思っていようがそんなことはおかまいなく

良くて「変わり者」たいていは「負け犬」扱い、

はっきり、もしくはオブラートに包んだ形で見下されてしまいます。

価値観に多様性が無いからだと思います。

悲しいことにうつ病や自殺してしまう方が多いのも

そういったところに原因があるのかもしれません。

 

私のようによそ者で、こんな田舎でこんな競争など思いもよらなかった者でも

周りはほおっておいてくれません。

 

もちろん、お金がたくさんあれば良いなあと思います。でも

私の価値観は「お金が全て」ではなかったはず。

それでもここの価値観どっぷりの義理家族から煽られると、

心がざわつくことがしばしばです。

 

そんな時、心に浮かぶ言葉があります。

それは「動じるな」

確か芸人の又吉さんが芥川賞を取った時に

相方の綾部さんに言いたい言葉として使ったように思います。

良い言葉だなあと思います。

 

今の私に一番必要な言葉なのかもしれません。