タトゥー考

日本では、全般的に

タトゥーに対してあまり良い印象がありませんが、

とある国のとある田舎町、

老若男女を問わず、とても多くの人がタトゥーを入れています。

 

理由の中には

「酔った勢いで・・・」もありますが、

特別な意味をこめてタトゥーを入れている人もいます。

旅行先で、「記念に必ず入れる」という人もいました。

 

このタトゥーによって、

来日した際の日本の印象が、全く違うことがあります。

たいていは

「とても美しい国だった」とか

「日本人がとても親切で感激した」とか

「サービスが最高だった」など良い印象を言ってくれますが、

タトゥーを理由に、楽しみにしていた温泉に入れてもらえなかった人の中には

「日本はなんて狭量だ」と感じて、がっかりした人もいるようでした。

 

そうは言っても、このとある国でも

職業によっては、見える所にタトゥーがあると

隠すように言われることがあるそうです。

例えば警官などが、その例らしいです。

 

私にとって印象的だったタトゥーをいくつか紹介します。

 

向こうから歩いてくる白人男性がパンチパーマ

「今どき、しかもこの国で珍しいなあ」と近づくまでそれとなく見ていると

なんとスキンヘッドに、インディゴカラーで

渦巻と言うか、ケルティックパターンのようなタトゥーがビッシリ。

これにはビックリでした。

この人は警官ではないな・・・と瞬間思ったのですが、いや待てよと。。。

もしかして毎日カツラをつけて出勤している警官かもしれない。

人を見かけで判断してはだめだと反省。

 

冬でも晴天ならば半袖を着ている人が多いこのとある国、

「真夏なのに長袖?」と思って注目すれば、着ていたのはランニング。

長袖に見えたのは、手首から肩先まで所狭しと入れたタトゥーでした・・・

それにしても見事な色彩と密度、細密画の如し。

 

結婚式で

バージンロードを父親とともに、しずしずと歩いていく美しい花嫁と純白のドレス、

うっとりと見とれてしまいましたが、

行き過ぎた後ろ姿、大きく開いたドレスからのぞいたのは

”歩く姿は百合の花” ならぬ

背中いっぱいに咲く真っ赤は大輪のバラ・・・

つい凝視してしまいました。

ちなみに

これまたしずしずと歩いていく彼女のブライズメイド

彼女にも同じ場所に同じ入れ墨が・・・

「花嫁の親友にちがいない」と確信しました。

 

今は小学校の高学年になった子ども達が、赤ちゃんだった時の写真を

そのままタトゥーに再現して腕に入れているママがいました。

これまた見事に写実的、まさにアートです。

 

パートナーの出身地の国旗を入れ墨している人もいますし、

漢字も頻繁にみかけます。

よく見かけるのは ”永” や ”愛” と言う漢字、

未来永劫の愛を誓ったのかもしれません。

 

コンサートで見かけた若い女の子のうなじに ”天使” のタトゥー。

「ああ、若いって良いなあ」となんだか微笑ましく思いました。

 

漢字のタトゥーですが、

中には「!?」とこちらの想像力や好奇心をそそるものもあります。

 

例えば ”台所” と入れていた男性

「職業は、シェフかも、それなら ”厨房” の方がカッコ良いんじゃ・・

 いやいや、もしかしたら、賢明に働く妻を支えるシェフならぬシュフ(主夫)で

 毎日台所でおいしいご飯を作る自分を、誇らしく思っているのかもしれません。

 ゲイの方なら、自分をどう思っているかでシュフ(主婦)と言えるかも」などなど。

 

”机” と言うのもありました。

「よほど勉強や読書が好きな男性なのか、机職人か、

 それとも何かもっと深い意味があるのか・・・」と興味津々でしたが、

「なぜdeskって入れたの?」と訊くのが何となく憚られ、真相は謎のままです。

 

一番驚いたのは ”賤”  と入れていた女性。

「え?よりによってなぜこの漢字? 

 そこまで自分を卑下せんでも」と思ったのですが

もしかしたら、自分が賤しくならないための戒めかもしれません。

 

この漢字、

意味を考えなければ、確かに面白いつくりです。

自分が気に入った形ならば、

実は意味などどうでもよいのかもしれません。

 

かく言う私は、タトゥーに対してそれほど否定的ではないですし、

背中に天使の羽のタトゥーを入れたアーティストなどを見ると素敵だなあと思います。

ただ

帰国した時を考えてもそうですが、タトゥーに二の足を踏む理由が他にあります。

 

ちなみに

私は若い時には、つり目のアーモンドアイでしたが、

タレ目のどんぐり目になりつつあります。

友人は「印象が丸くなった」と前向き?に言ってくれますが、

要は

重力の存在を、紛れもなく証明した顔になりつつあるわけです。

 

その状況を踏まえると?

タトゥーの形状を保てる自信が無いので、入れる覚悟が今ひとつないんです。