神様のいたずら描き
とある国、とある田舎の慣れない生活の中で悪銭苦闘する毎日・・
そんな中で、
私を癒やしてくれる物の一つが、雲です。
山はありますが、拙宅のある地域からは遥か遠くで、
シルエットとして映るくらいです。
どちらかと言うと平地で、至るところに牧草地や果樹園、野菜畑が広がります。
高いものと言ったら老木ぐらい、
2階建ての家もありますが、ほとんどは平屋で
ビルなんて一つもありません。
敷地は最低1ヘクタール(100メートル✕100メートル)
お隣と言っても300,400メートルは離れているので、
空が遮るものなしに、それは、それは果てしなく、大きく広がっています。
目の前、頭上、そして後ろ、左右・・・
まさにパノラマです。
お天気の良い日の日中は、雲一つ無く、
このパノラマ空間は、ただただ美しい水色で覆われます。
ところが
どんなに晴天の日でも、午前中や夕方には雲が現れます。
この雲の形がとてもユニーク。
専門家の方々にとっては、ありふれた雲なのかも知れませんが
私には、ただただ珍しく、興味深い。
私はこの雲を見ると、神様のいたずら描きみたいだと思います。
風が強いせいもありますが、
あっという間に形が変わったり、消えてしまったりと
まるで気分次第で描いているように見えるからです。
水色一色の広大なキャンバスに、
思いつきでシューッと描いた力強い線が
どこまでも続く巨大な横一を作ることもあれば、
思い切りが悪く、ヨレヨレした短い横一の時もあります。
このヨレヨレの時は
神様も、何かしら気分が乗らないのかもしれません。
飛行機雲が下から上に、長く長く伸びて行くこともあれば、
銀河系のように、渦を巻く雲が広がる時もあります。
神様の心は、遥かかなたを旅しているのでしょうか。
ポッ、ポッと小さな染みのような雲が、たった数個現れる時は
はからずも、筆から白絵の具が滴ってしまったのかもしれません。
モフモフした雲が判を押したように空一面に広がることもあります。
まるで羊の大移動のようです。
神様も、羊模様のスタンプを押すのにハマったのか、
その模様はどこまでも続きます。
ガーゼのような薄く柔らかそうな雲が、
パノラマを帯のように覆うこともあります。
まるで空を流れる大河、天の川のようです。
この他にも
ほんとにたくさんの ”いたずら描き” が現れます。
時々、
空のキャンバスに雲以外が描かれることがあります。
それは
地平線から地平線まで、大きな弧を描いた美しい虹です。
日本でこれほど大きな虹を見たことがなかったので、
初めて見た時は、その大きさに、心底感動しました。
この虹も神様の気分に応じてか、
細い虹もあれば、ものすごく太い虹、二重のもあります。
虹を描く時は、神様の力の入りようも半端ないようで
まず「バケツを引っくり返したような」土砂降りの雨を降らせて空のキャンバスを大洗濯、
その後で、美しい力作、大作を披露してくれます。
もうここまで来ると、”いたずら描き” と呼ぶのは失礼千万
まさにアートです。
空を見上げながら、今日も癒やされています。