小学生向けの本にも発見が!

やさしく読める洋書を、またご紹介したいと思います。

小学生対象の本ですが、なんといじめに関する本で

タイトルもストレートに

Bully on the Bus (by Kathryn Apel) 

 

この本を選んだのは、

簡易な英語でもいじめのような難しい内容を語れることと

物語の中で何となく文化的な違いを感じたので

これを読んだ他の読者はどう思われるのかな・・と興味がわいたからです。

 

本の内容に入る前にちょっとだけ

とある国のとある田舎町の状況をお話すると

大人も子どもものんびりしてると思いきや、とんでもない

大人の世界にも子どもの世界にも、いじめがけっこうあります。

特に子どもの場合だと、罵り言葉で心をいじめる形も多いですが、

もっとダイレクトな形、

つまりすぐ手や足が出て体をいじめ、

同時に心もいじめる形がとても多いように思います。

具体的には、押す、引っ張る、たたく、キックなど・・・

 

もっと陰湿で暴力的なものだと、

後ろからいきなり押します。

ころんだ子が膝を擦りむくくらいならまだましな方で

知り合いの子は、膝のお皿にヒビが入りました。

なのに、誰が押したのか、多分あの子だろうと思っても

教えてくれるクラスメートすらいません。。。

 

この本の前半部分では、ほんとに胸が痛みます。

Leroy をいじめているいじめっ子 DJ はかなり上級生、しかも

体も大きく、憎たらしいほど実に意地悪。

このいじめがどうやって解決されるのか、興味はつきないのですが

最後の結末が、私からすると何となく腑に落ちない。

これでほんとに解決するのかなあと・・・

 

”効果絶大!いじめ解決法” と言う本ではないし、

なんと言っても小学生向けなので

いじめられている子をこういう形で励ましているのだろうと思います。

 

大人に相談し、助けを求めることは大いに推奨されていますが、

いじめっ子に対して何かすると言うより

いじめられている子側のマインドセットや注意の向けどころが決め手みたいで、

そういうもんかなあと思います。

実はつれあいも、この解決法に近いことをよく言います。

確かに当事者の強い態度や自尊心はとても大事ですが

それが持てたら苦労しないんじゃないの?

日本では、こういうアプローチをするのかなあと思います。

 

もう一つ、文化的に違うと思ったのは

年齢にかかわらず、個人の意志を尊重するという点です。

 

Leroy の姉 Ruby は弟 Leroy に対して、

母親にいじめを打ち明けるように勧めるのですが

彼自信が母親に対して「なんでも無い」と言う以上

姉が彼に代わっていじめを言いつけることはありませんし、

母親も怪訝に思いながらも、それ以上の詮索をしません。

しかも Ruby は弟をかばうために

自分も DJ にいじめられていますが、それも言いません。

ただ、彼女の場合、自分はいじめに耐えられるし、

言い返せるほどの強さがあるとわかっているんです。

 

私がこの Leroy の母親だったら

子どもがスクールバスに乗りたがらない、

学校に行きたがらないだけで

「なんかあったんじゃないの、まさかのいじめ?」とおろおろし、

まずは子どもをしつこく質問攻めにし、

そして、先生に連絡するなり、

バスの運転手に様子を訊くなりするだろうと思います。

 

この母親も父親も、

DJ が Leroy にちょっかいを出しているのに気づいているバスの運転手も

みんな自分の仕事でいっぱいいっぱい、とても忙しいんです。

そしてそういうケースは

このとある国のとある田舎町でも決して珍しくないように思います。

だから本の中でも、ああいう結末になるのかなと思います。

 

ご褒美のシールまで DJ に取られてしまい、

もうどうしようもないほど心が痛いのに

それでもいじめを話そうとしない Leroy、

事情を知らない父親に叱られてしまいます。

それを見て、姉の Ruby はついに意を決して

弟がいじめられていることを両親に打ち明けます。

そしてようやく、驚いた両親が子どもの問題に取り組み始め、

教師やバスの運転手も真剣に関わり出します。

 

いくら小さい子だからと言って

相手が自分から助けを求めなければ、先回りして助けない、

助けを求めてくれば、親や大人は十分にサポートはする、

けれど子どもの意志や力を信じ、最後は子ども自身に任せる形・・

という感じなのでしょうか。

 

やさしい英語で書かれていますが、色々と考えた本でした。

皆さんはどう思われるでしょうか?

ぜひ一読を!